食事を摂らず痩せている

思春期になると特に女の子は「痩せてキレイになりたい」「太りたくない」と思うもの。

それは,この時期の女の子にわりと共通して見られる自然な気持ちです。

 

でも,極端なほど食事を摂らなくなり,体重がみるみる減っていく…そんな現象が起きたときには要注意です。拒食症(神経性無食欲症)の可能性があります。

お肉や脂っこい食べものを受け付けない,甘いものやお菓子を受け付けない,炭水化物は摂らない,食べるのは低カロリーの野菜とこんにゃくのみ…といった,食べるもの・食べないもののこだわりがみられることも多いです。

 

家族と同じ食事を食べることを避けたり,食べたふりをしてそっと捨てていたり,自分と家族の食事量を比較したりするなど,病気によるこだわりのために家族が翻弄されることもあります。

 

「お母さんの作った料理は食べない!」と実際に口に出すケースもあり,母親に対する反抗のように見えやすいのもこの病気の特徴です。

 

どんなに食行動が偏っていても,反抗的に見えても,それは病気の症状や飢餓状態からくるものなので,お子さん本人を叱責せずに見守っていただけたら嬉しいな,と思います。

 

摂食量低下や食事内容の偏りにより生じる体重減少ですが,診断基準では標準体重の-15%以上の痩せがあるとされています。

 

拒食症の状態になると,体重が減ることがとても嬉しかったり,すでにとても低体重なのに「まだ太ってる」と思い込んでいたりします。人前で体重を量ることを嫌がる場合も多いので,ご家族が本人の正確な体重を知るのは難しいかもしれません。

 

脱水や低栄養状態により,脳が萎縮したようになったり,生理が止まったりします。多くの場合,体重が回復すればこれらの状態も改善しますが,極端に痩せた状態があまりにも長く持続した場合には回復できなくなることもあり得ます。

 

産婦人科を受診してホルモン療法を受ければ生理を起こすこともできますが,低栄養状態で生理だけを回復させても,ただ貧血を悪化させる結果になりかねません。

 

やはり根本的な治療を行うのが望ましいと思います。

 

 

対応・治療法

 

この病気は死亡率が5%以上とも言われ,早期に適切な治療を行うことが大切です。入院治療が必要となることも少なくありません。

 

ただ,もともと真面目でがんばり屋さんの女の子が拒食症になりやすく,勉強が遅れることや部活などで周囲に迷惑を掛けることをとても気にして,なかなか入院に踏み切れないことがあります。

 

さらに,入院しても病気の症状のせいで,体重が増えることへの強い抵抗を示すことも珍しくありません…たとえば点滴を自分で抜いたり,病院食を隠れて捨てたり,狭い病室や病棟で驚くほどたくさん身体を動かしたり。

 

なので,専門的治療を行える精神科の病棟へ入院が最も適切ではないかと思われます。

 

精神科の病棟(病床)では,内科や小児科など他の科と違って医療法だけでなく精神保健福祉法という法律も適用されるため,こどもさん本人が入院に同意しな くても経験を積んだ医師(精神保健指定医)により入院が必要と判断されれば入院が決定します(医療保護入院と呼ばれます)。

 

ただし,未成年の患者さんの医療保護入院にはご両親おふたりともの同意も必要です。前もってご夫婦で入院についても話し合っておかれるとよいかもしれません。

 

また,低栄養状態などのために身体にもさまざまな不調が出やすいため,内科などとの連携がスムーズな総合病院の精神科へ入院するのが安心かと思います。地域によっては,心療内科病棟での入院で心身両面に対応してもらうという選択肢もありそうです。

 

病気がよくなることは太ること,という思いから,外来診療についてもこどもさん本人が積極的になりにくい病気です。まずは親御さんだけが相談機関や医療機関とつながりを作って,家でのかかわりかたなどの助言を受けるという方法もあると思います。

 

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コメント: 2
  • #1

    かい (火曜日, 14 8月 2012 16:53)

    娘16歳が現在、精神科に拒食症で入院中。163cmで40kgで、体重増加拒否反応と自己嘔吐と疲れのため入院。低血圧が少々続いています。(現在70くらい)3週間が経ちましたが、約1,5kgしか増加しません。入院生活のストレスとまだ太りたくない気持ちがそうさせるのですが、1ヶ月経ったところで、一度ストレス解消に自宅に連れて帰ってもいいかどうか悩んでいます。入院生活は最初から嫌で寂しくて、看護婦さんの言葉に傷ついたり、厳しい制限療法に、ときどき泣いたり、むしゃくしゃしたりしています。友人や家族のバックアップはあるのですが、本人自信でさまざまが葛藤があり、なかなか落ち着いた心の状態にならない様子です。一番の本人の希望は、いつも「ここから連れて帰って欲しい」ということですが、病院側に任せて、もっと様子をみて延長入院させるか、自宅にいったん戻り、落ち着いて心の休養をさせるべきか考えています。病院側は、彼女の低体重、低血圧がまだ回復しないので、退院は無理と話しますが、あまりに病院でのストレスが目に見えるので。親としてはどうしていいか困っています。1週間ほど家族旅行で休養させて、また診察に通院してはどうかとも思っていますが、このようなことをしても無駄?また危険なのでしょうか?

  • #2

    child-mental-health (火曜日, 14 8月 2012 23:53)

    かいさん,ご質問ありがとうございます。
    詳しく書いていただいたのでずいぶんはっきりとお嬢さんのイメージを描くことができました。

    個人的な意見になりますが,もしも私がお嬢さんの主治医であったら,この状況では絶対に外泊(もちろん家族旅行も)の許可は出さないだろうと思います。拒食症の入院治療はいろいろな厳しい制限や条件が打ち出されて本当につらいものですが,そういう厳格な枠組みがないとこの病気と闘うのは難しいのです。摂食障害はそれほど手強い病気です。

    体重が回復することへの抵抗や治療そのものに対する抵抗は,病気の症状や脳の飢餓状態によるものです。本人にも,自分の本当の考えなのか病気にそう思わされているのかの区別がつきにくく,混乱したり葛藤したりしてしまいます。ご家族や周囲の人にも,本人の本心なのか症状なのかがとてもわかりづらく,本人の口から出る治療への抵抗の言葉を受け入れるべきかどうか悩まれるところだと思います。

    「あなたには早く元気になって退院してほしいと思うけど,今外泊するのは身体の状態にもとても危険なことだと思うし(実際主治医もそう思っているはずです),せっかくあなたが3週間がんばってきたことを台無しにしてしまうと思うから,外泊はやめておこうね。『帰りたい,治療を中断したい』という病気の声に惑わされずにここでしっかり入院治療を続けよう」の一点張りを穏やかな口調で続けてあげてください。親御さんにもおつらいことと思いますが,どうかよろしくお願いします!

    お嬢さんが少しでも早く心身ともに落ち着いた状態になられることをお祈りしています(でも長期戦になる病気ですので,気長にサポートしてあげてくださいね!)。

    またいつでも書き込みにいらしてくださいませ。