2010年

9月

03日

自宅から出たがらない

我が子が家にこもりっきりで,どこにも出掛けなくなってしまった…そんなとき,お母さんお父さんはとてもご心配なことと思います。

 

「ひきこもり」は医学的診断名ではありませんが,学校へ通えなくなったり,友達や家族と外出するのが困難だったりして,自宅以外で社会的な活動へ参加する機会や場面が比較的長い期間失われている状態を指します。

学校などの社会的場面での大きな挫折や傷つきがきっかけである日突然ひきこもり始めることもあれば,じわじわと外出や社会参加の頻度が減っていくということもあります。

 

いずれにしても,ひきこもることによって自分の安心や安全を確保するという目的があることが多いように思います。これ以上無理ができないと感じたときに,自分を守るための非常手段としてひきこもっているという意味がありそうです。

 

では,こどもさん本人はひきこもれば安心が得られるかというと必ずしもそうではなく,外の世界へ出なくていけないと思っているのに出られない苛立ちや無力感を感じていたりします。そんなやり場のない怒りを,身近な家族へぶつけてしまうこともあります。

 

 

対応・治療法

 

そばで見ていると,身動きの取れずにいるこどもさんのことがもどかしく感じられるかもしれません。

 

「ずっと家の中にいてどうするつもりなんだ?」

「外へ出てみたらどうだ?」

と発破を掛けたくなるお気持ちになられるのは当然のことだと思います。

 

でも,本人もずっと家の中にいても仕方がない,外へ出なくてはいけないということは重々わかっているはずです。それなのに動き出せないから家にこもってしまっているのです。

 

自分でどうにかしたいけどどうにもできない,誰かに助けてほしいけどそっとしておいてほしい…きっとそんな葛藤の中で苦しんでいるのだと思います。

 

そんな状況なので,まわりから本人に一生懸命はたらきかけてもその思いが本人にはうまく伝わらず裏目に出てしまったり,そのためにご家族も本人も傷ついてお互いのかかわりがどんどん希薄になってしまったり,といったことになりやすかったりします。

 

でも,ひきこもった状態から自分の力だけで抜け出すのはとても難しいことですし,ここぞというときのご家族からの力添えは本当は心強いはずです。

 

そこで,気持ちの波がうまく合うタイミングがくると信じて,「邪魔はしないから安心してゆっくりしていいよ。必要なことがあったらいつでも手を貸す用意はあるよ」というメッセージをことばや表情や態度で伝えたり,日常生活で必要なあたりまえのやりとりは続けながら,静かにあたたかく見守っていただけるとありがたいなぁと思います。

 

それでも,見通しの立たない今の状態に不安を感じられるようであれば,お母さんお父さんだけで相談機関を訪れて「今できること」についてアイデアを出してみるのもよいと思います。ご家族が余裕をもって見守ってくださることがお子さんの気持ちを楽にするというのはよくあることです。まずはご家族が穏やかな心で過ごせるように,うまく相談の場を活用してください。

 

ひきこもりの相談については,全国のひきこもり支援センターで受けてもらえます。

ひきこもり支援センターがまだ設置されていない地域については,精神保健福祉センターや地域の保健所でも相談できると思いますので,まずは問い合わせてみてください。

 

ひきこもりそのものは「病気」として治療対象となるわけではありませんが,たとえば布団に入って寝ようと思っても寝つけない,食欲がない,漠然と不安を感じるなどの症状がある場合にはお薬の服用が有効かもしれません。お子さん自身が医療機関に出向いてみようと思える状態になったら,ぜひ受診も検討してみてくださいね。