リストカット・自傷行為がある

お子さんが手首をカッターで切るなど,自分の身体を傷つける行為をしている…。

 

お母さんお父さんにとって,非常にショックなことだと思います。

 

いったい何故そんなことをするのか…驚きと怒りが混じったような気持ちになるかもしれません。

いわゆるリストカットや自傷行為は,必ずしも自殺企図として,つまり死のうと思って行う行為ではない,という研究者もいます。

 

ただ,死にたいくらいつらい気持ちになって,死ねるかもと思って手首を切ってみたら,死ねなかったけどなぜかスッとした…と話してくれるお子さんがいらっしゃったりします。

 

つまり,リストカットが何らかのストレス解消の役割を果たしていて,今そのストレス解消法をとらなくてはならないほど苦しいことを抱えた状態にある,と考えられます。

 

そう考えると「リストカットなんてやめなさい!」とどれほど強くに叱っても,あまり効果はないと思われます。

 

手首を切るのは痛いだろうに,切らずにいられないほどつらい思いを抱えていることに目を向けてあげて,でもできればそんなことはせずに済むのがいちばんい いと思っていることはちゃんと伝えて,そのためにお母さんお父さんにできることがあれば教えてほしい,悩みがあるのなら相談してほしい,と穏やかに,真剣 に伝えてあげるのがよいかもしれません。

 

 

対応・治療法

 

自傷行為の背景にあるどうしようもない苦しさやストレスも理解して,手首を切らずにいられないお子さんの今の状態をありのまま受け容れてあげる…,それがお子さんにとっていちばん心強いことだと思います。

 

ただし,受け容れられたと感じたからといってすぐに自傷行為がおさまるとは限りません。

 

本当は,リストカットに代わるもっと安全なストレス解消法や,自分を元気づけることのできる活動・人との関わりなどが見つけられるとよいのでしょうね。

 

医療に関して,リストカットに即効性のある治療(たとえば特定のお薬を飲めばリストカットがおさまるなど…)があるわけではありませんが,気分の落ち込みや不安,イライラなどをやわらげるという意味では薬物療法はある程度有効だと思います。

 

ただ,手首を切りたいわけじゃないのに切らずにいられない状態に陥っているお子さんは,罪悪感や無力感などから自己肯定感をもてなくなってしまっているこ とがあるので,「そんなにリストカットするなら精神科に連れていくわよ!」という誘いかたをするとさらに自信を失ってしまう可能性もあります。

 

「あなたの苦しさを少しでもやわらげるために,誰かに相談したり受診したりするという方法もあるからね」とお子さんの苦痛をなんとか軽くしてやりたいという思いが伝わるような伝えかたをされるとよいかもしれません。

 

傷の深さや損傷の程度によっては皮膚科など外科的治療が必要になる場合もあります。