家族に対して暴力がある

お子さんが家で家族に暴力を奮う,といったご相談を受けることがあります。

 

多いのは,ひきこもりや不登校の状態にある,思春期の男の子のケース。

 

家から出たいのに出られない,友達からのメールを待っているのに来ない,小遣いがほしいのにもらえない,など思いどおりに行かないことへの八つ当たりであることもあります。

親御さんとやりとりした言葉がちょっと引っ掛かったり,行動が気に入らなかったりすると,その怒りが暴力になって親御さんに向かうこともあります。

 

自分のなかで過去にいじめられたことなどつらい体験を思い出して,そのつらさを紛らわすために今目の前にいる家族に対して手を挙げることもあるかもしれません。

 

不満や怒り,つらさなどをことばでうまく表出することができず,暴力というかたちでアウトプットしていることが多いのではないかと思います。

 

 

対応・治療法

 

リストカットなどの自傷行為と一部共通して,暴力をふるうことが数少ないストレス解消法になっていたり,暴力に頼らなくてはならないほどのつらさを抱えているという面があるのだろうと思います。

 

ただ,暴力は誰かを傷つけるものですし,そのまま放置しておくわけにはいきません。

 

家族がケガをしたり暴力を恐れて萎縮したりてしまうことで本人をサポートする力が失われてしまうかも知れませし,家族のやむを得ない反撃(防御のつもりかも知れないけれど…)によって本人が負傷する恐れもあります。

 

また,暴力を怖がるあまり本人の無理な要望に添うような対応をしてしまうことで,お子さんの暴力を結果的に促進させてしまうことだってあるかもしれません。

 

なのでご両親からお子さんに,感情的にならず,でもはっきりと「暴力をふるうのなら一緒には過ごせない」と伝えることが大切です。

 

激しい被害に遭っているひとは,一時的に自宅以外のところへ寝泊まりすることも必要かも知れません。安全確保が最優先です。

 

最も多いのは,お父さんが不在のときにお母さんや年少のきょうだいに向けられる暴力です。本人が暴れそうな状況になれば,すぐお父さんに帰宅してもらう,近くの親族や知人を呼ぶ,警察を呼ぶなどの行動も必要となるかも知れません。

いくら家族間とはいえ,密室でのできごとで終わらせないという姿勢を示してください。

 

ただ一方で,ご家族にとってイヤなのはあくまで「暴力」なのであって,お子さん自身を嫌いになったわけではない,というメッセージがきちんと伝わるようにすることはとても大事だと思います。

 

お子さん本人が進んで医療機関を受診しようとすることはあまりないと思いますが,少し状態が落ち着いて「イライラしてしまう自分,つい手が出てしまう自分を何とかしたい」というモチベーションが湧いてきたら,心を静めるために薬物療法を利用したりすることもできるかもしれません。