2010年

9月

30日

「このこと絶対誰にも言わないで!」と言われたら…

私たちが診療しているなかでも,悩みごとを打ち明けてくれたこどもから「先生,この話は母さんには内緒にしてて」と言われることがあります。

たとえば,親に内緒でリストカットしている話。

たとえば,クラスで無視されて困っている話。

たとえば,学校でカツアゲに遭って親のお金を持ち出している話。

 

せっかく信頼して打ち明けてくれたのだから,秘密を守ってあげたいという気持ちもむくむく。

 

でも私は,たいていの場合そのむくむくを抑えて,こんな感じで返します。

 

「大事な秘密を打ち明けてくれてすごく嬉しいな。でも,この秘密を私だけが知っていて,果たして本当にあなたをちゃんとピンチから守ることができるとはどうしても思えない。やっぱりご家族に今のつらい状況や気持ちを知ってもらって,必要なときいつでも助けてもらえるようにしたほうがいいんじゃないかな。初めはびっくりさせたり怒らせたりしちゃうかもしれないけど,きっとわかってくれると思うよ」

 

その日に診察室で親御さんにお話する子もいれば,「次回まで考えてみる」という子もいれば,まず兄や姉に打ち明けてみる子もいれば,家に帰って直接親御さんに自分から話した,という子もいました。

 

こどもたちは自分の秘密の悩みを打ち明けるのに,じつはとっても勇気を必要としています。

 

それでも,やっぱり誰かに話したほうがいいと思うから思い切って打ち明けてみるのだと思います。

 

おうちでも,もしかしたらお母さんに「絶対この話はお父さんには内緒にしてて!」なんて悩みを話してくることがあるかもしれません。

 

他愛ない話なら秘密を守ってあげてもいいと思うのですが,暴力を受けているとか死にたい気持ちがあるといったお子さんの心身を危険な状態に晒すような秘密であれば,お子さんのために親身になってくれるおとなたちで情報を共有する必要があると私は思います。

 

でも,本人との約束を破るような形で伝えるのはやっぱり望ましくはないですよね。

 

秘密を思い切って打ち明けてくれた嬉しさを伝えて,それでもあなたを守るためにこのことは誰と誰にはちゃんと話したほうがいいと思う,あなたが大事だからこそこのまま私ひとりのなかで留めておくことはしたくない,と真摯に伝えてみるとよいのかな,と思います。

 

お子さんの安全を守ることは,秘密を守ることに優先する…,

 

そのことはぜひ意識しておいていただきたいと思います。

 

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