女性(男性)の先生じゃないと無理なんですが…?

初診の申し込みのときに聞かれることの多いご質問。

親御さんが事前に主治医の性別の希望をもっておられて,それが叶うかどうかを尋ねてこられるケース。

 

希望される理由はさまざまです。

 

最も多いのが,痴漢や暴行などの性的な被害に遭ったお子さんの診療について,加害者とは異なる性別の医師にお願いしたいというもの。

 

女の子の診療を女性医師にして担当してほしいというご希望が最も多いですが,もちろんそれ以外の組み合わせもあります。

 

ほかには,たとえば園や学校で先生から強く叱責された体験のあるお子さんについて,「担任の女(男)性教師に恐怖心があるので,男(女)の担当医がいいと思う」といったケース,母子(父子)家庭のお子さんで「父親(母親)から殴られたりしていたので,男性(女性)は受け付けないんです」といったケースなどもあったりします。

 

それから,摂食障害の女の子から「体重や生理の話を男の先生にするなんてムリ!」という声があがることも結構ありました。

 

 

わざわざ性別を指定してこられるということは,やはりそれなりのご事情がおありだと思うので,私の所属する病院ではご希望される場合にはその理由を必ずお聞きするようにしています。

 

それはもちろん,男性医師も女性医師もいる病院だからこそできることなのですが。

 

そして,必ずしもご希望に添えるわけでもありませんし,希望の性別の医師が担当にならなくても,案外治療はスムーズに進むということもあります。

 

それまで「男性=怖い」と思い込んでいたお子さんが,主治医との出会いを通じて怖くない男性像を知る,ということもあったりしますから。

 

逆に,希望の性別の医師に担当してもらったけれどしっくりこなかった,ということももちろんありえます。

 

摂食障害の女の子だって,「先生が女のひとだと,どうしても自分より太ってるか痩せてるかが気になってしまうから…」と男性医師のほうが落ち着いて治療に取り組めることもあるのです。

 

 

結局は相性,なんですよね。

性別だけの問題ではなく,ひとりひとりとの相性。

 

でも,治療の始まりの部分で「思っていたような先生に担当してもらえなかった…」となってしまうのはたしかにガッカリすること。

 

もしも担当医の性別にご希望があるなら,遠慮なく診療前にスタッフに伝えてみてください。その病院に希望の性別の医師がいるかどうかを受診前に電話で問い合わせてもよいと思います。

 

希望が叶えばラッキー。

相性がよければなおラッキー。

 

そして,性別の希望は叶わなくても,もしかしたら人間的にはしっくりくる先生かも知れません。

 

特にお子さんの診療を担当してくれそうな精神科医の数はとても限られています。この機会を逃すと治療のスタート自体がとても遅れてしまう可能性だってあるのです。

 

会って話すくらいは何とかがんばれそうなら,まずは一度は会ってみられてはいかがでしょうか。それでどうしてもダメなら転医する,という選択もアリだと私は思います。