
お子さんがしきりにまばたきをしたり,風邪をひいているわけでもないのに空咳が増えたりすることがあります。
現象はまったく違いますが,どちらもチック症の症状と考えられます。
チックはわりとよく知られた症状なので,外来へ来られた親御さんのほうから「これはチックでしょうか?」と尋ねてくださることも結構あります。
チックには,まばたきをする,軽く首を振る,足を踏みならすなど,身体の動きとしてあらわれるタイプ(運動性チック)と,空咳が出る,鼻を鳴らす,「ん,ん,…」と喉を鳴らすような声が連続して出るなど音や声を発するタイプ(音声チック)があります。
音声チックのなかには,「バカ,バカ,…」など意味のある単語を繰り返したり,聞こえてきたことばをオウム返しのように反復したりするパターンもあったりします。
お母さんお父さんが身近で見ておられてとても気になるでしょうし,特に音声チックは学校の授業中などに先生や周りのお子さんにも気付かれやすい症状です。
もちろんお子さんがわざとまばたきしたり声を出したりしているわけではなく,脳のなかで情報の制御がうまくいかない状態となって自動的に繰り返されてしまっている状態だと考えられています。
何か生活のなかで困ることがあったりストレスが掛かったりするとチックが起きてくることが多いようです。
対応・治療法
「チックではないか?」と思って受診してくださったお母さんお父さんのお話を伺っていると,「我が子にチックが出てしまった!」ととても心配していらっしゃることが多いようです。
真剣に心配していただくことは本当に心強くてありがたいことですが,発症して数ヵ月程度の比較的軽いチックであればほんの少しの環境調整で比較的容易に消失することが少なくありません。
発症した頃にお子さんに掛かり始めたストレスはないか,その前からしばらく続いている負荷はなかったか…そんな視点で少しお子さんの生活を振り返っていただいて,減らせる負荷はぜひ軽減してあげていただけると助かります。親御さんの想像する負荷と,お子さんが負荷と感じることはひょっとしたら違っていることもあるので,「考えてみたら○○ってしんどかったのかなぁ?」など,率直に話し合える雰囲気のなかで一緒に考えてみるのもよいかも知れません。
チックのために「授業中に周りに迷惑を掛けてしまう」と気にするお子さんもいらっしゃるので,担任の先生にお子さんの状態を伝えて,たとえば座席を後ろや隅,扉の近くに移れるようさりげなく配慮していただけないか,などとお願いしてみるのもよいかも知れません。
ごく少量のお薬を使うことで治りがとてもスムーズになることもあります。
お子さん自身もとてもつらい症状だと思うので,必要に応じてお子さんにお薬を使うことができるということもぜひ伝えてあげてください。
経過が長くなったり,チックの症状が複数組み合わさったりしてきた場合には,はじめから薬物療法を使うことを考えたほうがよいと思います。
チックはみっともない・恥ずかしいから治さなきゃ!というのではなく,お子さん自身がチック症状の苦しさから早く抜け出せるように,適切な治療へつないでいただけたら嬉しいなぁ…と思います。
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中野 恵 (日曜日, 05 2月 2017 18:53)
小2の息子がチックのようです。
4ヵ月弱前に鼻をヒクヒクさせた直後に目を回しているのを見て、チックと気がつきました。
しかし、鼻をヒクヒクさせるだけの動作は、もっと前からしていました。その時はチックとは気がついていませんでしたが、鼻の動作が始まってからは1年程経過していると思います。
今は、鼻の動作、目をぎゅっとしたりパチパチする瞬きがあります。
息子は慢性チックでしょうか?
トウレットに移行する可能性は高いでしょうか?
小児精神科を探して行くべきか、このまま経過をみて良いのかとても悩んでいるので、お返事をいただけたらと思います。よろしくお願いします。