2010年

10月

14日

テンションが高く,活動的すぎる

元気がないお子さんお姿を見るのはつらいことと思いますが,元気がありすぎるように感じられるのもまた心配…そんなことはないでしょうか。

 

テンションが高くなって,よく笑ったり,いろいろなひとと大きな声でたくさん話し続けたり,普段よりアクティブに出掛けたり,周 りのできごとに積極的に首を突っ込んでみたり,係などの役割を立候補して引き受けたり,気前よく友達に奢ってあげたり,…。

 

そんなふうにあまりにも活発で楽しそうな様子がみられたら,これはやはり要注意。

 

躁状態,あるいは軽躁状態と呼ばれる症状かも知れません。

 

躁とは,うつの裏返しのような状態で,気分の波の谷側がうつなら,躁は山側にあたります。

 

躁状態ほどの大山でなくても,山側に気分の波が現れることを軽躁状態と呼びます。

 

エネルギーに溢れていて,疲れも感じなくて,積極的・意欲的で…お子さん本人も気分爽快で楽しくて仕方がない,といった様子に見える躁状態。「私の周りがキラキラ輝いて見える♪」なんて話してくれたお子さんもいらっしゃいました。

 

…一見いいこと尽くめに思える躁状態ですが,いくつか問題があります。

 

ひとつは,この状態が長くは続かないこと。

 

万事この調子でずっとうまくいくわけがなく,やがて疲労がドッと押し寄せます。

 

そして,エネルギーが切れてしまったにもかかわらず,躁状態のときに引き受けた約束や取り掛かったことなどがたっぷり山積みになっていて,その後始末に追われることに…そのまま一転してうつ状態に陥ることも珍しくありません。

 

もうひとつの問題は,気分爽快ではない躁状態もありうること。

 

ものすごく頭の回転が速くなって,いろんなことに気がつくのはいいのですが,ひとの失敗や不完全なところがパッと目に入って,気が大きくなっているので普段なら上手に気を遣えるはずの先輩や友達にも攻撃的な口調でズバッとダメ出ししてしまったり…。

 

それがきっかけで,対人関係にヒビが入ってしまうこともあるのです。

 

躁の波がおさまってから自分の失言を後悔しても,やはり相手とのギクシャクは簡単には解消できないもの。

 

やはり,できれば躁状態はできるだけ予防したり,もし気分高揚の波が来ても早めにおさまってもらったほうがよいようです。

 

 

対応・治療法

 

躁状態の間はお子さんご本人がつらさを自覚することはあまりないようですが,やはり早めにお薬による治療を行うほうがよいと思います。

 

「眠れてないみたいで気掛かり」「あまりにがんばってるから,気付かないうちに無理してしまっていないか心配」などと声を掛けて,ぜひ受診につないであげてください。

 

どうしても躁状態で精神科を受診させることが難しければ,うつ状態になってから受診という方法もあるかもしれません。

 

うつ状態で受診する場合には,必ず主治医に「とてもテンションが高く元気いっぱいの時期があった」ということを伝えてください。

 

なぜなら,うつ病と躁うつ病の薬物療法は方針が異なるからです。

 

うつ病相のみであれば,抗うつ薬で気分を持ち上げる治療が基本になりますが,躁うつ病のうつ病相では抗うつ薬を使うことが躁状態を誘発してしまうことがあるので,気分安定薬というタイプのお薬で気分の波の幅を全体的に狭める治療を行うのが一般的です。

 

躁状態の再発を招かず効果的な薬物療法を行うために,ぜひご家族からの正確な情報提供をお願いしたいと思います!