2010年

10月

26日

「ひきこもり対策を強化せよ!」って…

児童精神科だけの問題ではないのですが…,

「ひきこもり対策を強化せよ!」という指令が,うちの病院の上層部に下りてきているようです。

私の勤めている病院は,今もかなりひきこもり支援には熱心に取り組んでいるほうだと思います。

でも,もっともっと力を入れるように,ということのよう。

「たとえば,自宅以外の居場所となるようないつでも気軽に利用できるスペースを院内に設置してはどうか?」といった提案もされているようです。

たしかに,自宅に閉じこもりがちで,外の世界との接点がとても少なくなってしまっているこどもたちや青年の「居場所」を作ることは必要なことかも知れません。

でも,物理的な居場所・空間だけがあっても,きっと意味がないと思うんですよね。

こもることのできる場所が増えることにはなっても,社会とのつながりは増えていかないんじゃないのかな…と。

その場所が安心できるところだと感じられて,安全が確保されているなかで,他のひとと関わる経験や練習をそっと重ねていけるような場所が大事なんじゃないのかな,と私は思っているのです。

まずは場所よりも,ひととのつながりを作ること。

たとえばそれは,相談機関のスタッフであったり,医療機関の医師であったりするかもしれません。

家族を交えて(あるいは本人だけ)と支援者の1対1の関係に少しずつ慣れてきたら,それからほかのスタッフとの接点を増やしたり,スタッフのサポートがあるなかで構造化された少人数のグループ活動に参加したり,…と段階を追って,ひととのつながりを増やしていく。

そんな地味なステップをきちんと踏むことが,本人の不安をやわらげたり,自信を少しずつ育んだりするとても大切な道筋になるんじゃないのかな。

それは,来てくださる方ひとりひとりへの細やかな気配りが必要になる,そして時間もたっぷり掛けなくてはならない,とても大変な作業。

マンパワーだって必要です。

そういう地道だけど重要な部分をすっ飛ばして,ひきこもり支援は語れない!と私は思っています。

でも,現場で過ごすことのあまりない方々にはそういうことはピンと来にくいのかも知れません。

「居場所があるだけじゃうまくいかないけど,地道な支援がこんなふうに実を結んでいるんですよ」ということを,現場を見る機会のない方々にぜひお伝えしたいな,と思っているところです。

まだまだ,やるべきことがたくさんありますね!
がんばります♪

 

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