発達障害,どうやって診断するの?

昨日の記事は,診断は支援とセットで…というお話でした。

(余談ですが,診断は支援とセットであるとして,診断抜きで支援だけ行うのはアリだと私は思っています。)

 

今日は,どうやって診断するかというお話です。

医師によって多少やりかたは違うかも知れませんが,私の場合は次のような感じです。

 

診察室に来てくれるお子さんは,おそらく何らかの難しさや苦しさを抱えているはず。

 

まずは,今抱えている困難についてお話を伺うことになります。

 

お子さんの年齢にもよりますが,お子さんご自身の困っていること,それからお母さんお父さんの心配ごとの両方を聴かせていただくことが多いです。

 

お子さんの場合,学校生活が毎日のできごとの大きな部分を占めるので,どうしても学校のことが話題にのぼることが多くなります。

友達関係,勉強のこと,クラブや課外活動,先生との関係などなど…。

 

もちろん,家での生活についてもいろいろお聴きします。

生活習慣,自由な時間の過ごしかた,ご両親やきょうだいとの関係などなど…。

 

ときには,園や学校の先生がお子さんや親御さんの了解を得て一緒に来てくださることもあります。

 

診察室で見ることができるお子さんの姿は限られた部分だけ…そこで,できるだけお家や学校でどんなふうに過ごしているのかがリアルに浮かんでくるように詳しくお話を聴かせてもらっています。

 

…なので,しばしば困りごとから話が脱線して,お子さんの好きなことや楽しんでいることの話にどんどんシフトしてしまったりもするのですが(笑)。

 

それから,大抵は日を改めてということになりますが,親御さんからお子さんのとても小さかった頃の話をお聞きしています。

 

発達障害の特性はそのひとが小さいときから現れているもの…なので,いくら社会的な適応困難を抱えているとしても,小さいときからその特性が認められていたことがお話のなかで確認できなければ,発達障害と診断することはできません。

 

発達障害の特性が小さいときからあったことを確かめるのも大切な診断作業のひとつですが,小さいときからの「歴史」を話していただくなかで,これまでにどんな困難を乗り越えてきたとか,どんな強さを発揮してきたとか,そのお子さんの武勇伝ともいうべきお話聴けたりもします。

 

こうして,小さいときからのお話を聴くこととを「生育歴を聴く」という言いかたをすることもあります。

 

生育歴をお聴きすることと併せて,心理検査を行うことも少なくないのですが…,

 

それは次回に続きます。

 

発達障害について へ

コメントをお書きください

コメント: 3
  • #1

    nag (木曜日, 05 1月 2012 18:22)

    純粋な疑問です。
    発達障害と個性との違いはどうやって見分けるのですか?
    発達障害は医師によってその診断方法が異なると言うことですが、国や学会などから診断のガイドライン的なものは出ているのですか?
    また、何か参考になる本などあればお教え下さい。
    ツイッターにて質問は心の小枝にお書き下さいという趣旨の記述を拝見しましたので、突然で恐縮ですが質問させていただきました。
    宜しくお願いいたします。

  • #2

    child-mental-health (金曜日, 06 1月 2012 21:40)

    nagさん,ご質問ありがとうございます。

    発達障害の特性は,障害か個性か? というテーマはたしかにとても難しくて,よく話題になっているように思います。

    国際的な診断基準はもちろんあるのですが,たとえば「発達水準相応の友達関係をつくれない」という項目に該当するかどうかは診察室で短時間お会いするだけでは簡単に判断はつかないものですし,どうしてもその判断には担当医の主観が入ってきますよね(血圧や血糖値のような客観的なデータは得られないことですから…)。

    発達障害の特性がその人の得意や長所として活きることもあれば,まわりの環境のなかで苦手さや困難として現れてしまうこともあります。発達障害の特性はその人らしさや個性でもあり,本人を悩ませる障害ともなりうるという意味で,個性と障害は裏表の関係にあると言ってもいいのかもしれません。できるだけ長所として特性が活かせるよう,環境を整えたり選んだりすることも大切だと考えています。

    診断方法の参考になる本というわけではないのですが,吉田友子先生の「あなたがあなたであるために ― 自分らしく生きるためのアスペルガー症候群ガイド」(中央法規出版,1260円)はアスペルガー症候群の特性についてご本人やご家族にわかりやすく説明してある良書だと私は思っていて,診察室でもよく患者さんやご家族に貸し出ししています。ご興味がおありでしたらぜひ一度お手に取ってみてください。

    長文失礼致しました。

  • #3

    nag (日曜日, 15 1月 2012 03:02)

    丁寧なご回答ありがとうございます。
    障害の度合いは連続的なので、「何処からが障害なのか」という事を明確に決める事は難しい。そして医師次第で、診断結果が異なるという事でしょうか。
    多分、障害⇒「障害とも個性ともとれる」⇒「個性」という3つのクラスが有って、「障害とも個性ともとれる」というクラスの子供が問題に成るのかな、と思いました。

    書籍のご紹介ありがとうございます。参考にさせて頂きます。