自殺と,いじめと,…

どうしても気になる新聞記事を読んでしまったので,そこから考えたことをちょっと書いてみます。

(読んだ新聞記事を引用しようかとも思いましたが,差し控えることとしました。)

 

 

さて,一般論として。

 

こどもの自殺が起きてしまったとき,いじめとの関連が話題になることがあります。

「いじめを苦に自殺した」など。。

 

もちろん,おとなの自殺でも「借金を苦に自殺した」といったように,ある特定の原因が自殺という結果を招いたという論調で語られることは少なくないように思います。

 

でも,ひとりのこどもが自ら命を絶つという選択をするほどに追い込まれる背景には,とても複雑な事情や要因が絡み合ったり重なり合ったりして存在していて,死の直前に起きたたったひとつのできごととの関連が1対1の対応で結びついているということはむしろ稀なように思われます。

 

一方で,いじめは本当に,,本当によくないことです。

いじめを受けるこどもさんにとって,いじめは大きくふたつの意味で悪い意味を持つから。

 

ひとつは,こどもさんの自己肯定感や自尊感情を深く傷つけること。

そしてもうひとつは,こどもさんにとっての居場所のひとつを奪ってしまうこと。

 

いじめるほうは,それほど深く考えずに,面白半分でやっていることもあるかもしれません。

 

でも,いじめられる子にはすごく強いダメージを与えてしまいます。

 

 

自殺といじめが直線的因果関係にあるかどうかはわからない。

 

かといって,いじめの問題が軽視されていいわけではない。

 

自殺という悲しい結果に至る前に,どんなに小さな芽であっても,いじめをしっかり摘みとることが大事。

 

どんな些細なことでも,こどもさん本人・保護者・担任の先生,そしてできることなら学校のどの先生とも速やかに情報共有ができて,協力態勢が作れて,学校全体として「いじめは許さない」という構えをきちんと作ることが本当に重要なことだと私は思っています。

 

お子さんにとっても,親御さんにとっても,先生方にとっても,いじめというネガティブな情報を伝え合うことには抵抗があることはとてもよくわかります。

 

いじめに気付いてしまったいじめっ子・いじめられっ子以外のお子さんにとっても,なかなかそれを誰かに知らせることには勇気がいるはずです。

 

でも,きちんと情報を伝えることをぜひためらわないでほしいと思います。

 

結局それは,すべての関係者にとってメリットがあることだと思うから。

 

私も,いじめをなくすために診察室のなかでできることに精いっぱい取り組もうと思っています。

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コメント: 5
  • #1

    oichin (木曜日, 04 11月 2010 13:49)

    原因となる疑いがあり、その他に何らかの有意なことも無いので、やはりいじめは防ぐべきです。完全に発生しないようにするのは無理なので、防ぐようにしないと。
    事件後に、いじめは認識してなかったと発表する学校が有りますが、実際には担任なり同級生を取材していると事実が出て来ることが、見られます。
    防ぐ能力の無いところで起き、悲しい結末を迎えるべき環境だったのだろうと想像してしまいます。
    無いと良いと思えば、感知できないことも理解出来ない人達に、子供を委ねるのは過ちです。いじめを受けたという相談を受ける窓口を学校の外に開くというのが、せめてもの選択しかもしれません。そして、感知できない教師は、辞めていただくとかも必要でしょう。

  • #2

    かゆ (木曜日, 04 11月 2010 15:49)

    いじめ=学校の責任でしょうか?いじめた子どもは、どうして『自分だったらどう思うか』と考えないのでしょう。いじめた子は親からそういうことを教えられていないのか、育った環境や親との関係など、原因を学校以外のところからも考えてもいいのではないでしょうか。いじめられた子にスポットを当てるのではなく、いじめた子にスポットを当ててほしい。どんな理由があっても、人を傷つけることは許されない。学校は、家庭(など)で育った子供が集まる場所です。学校に訴えても何もしてくれない、ということもあるかもしれませんが、そんな教師ばかりではありません。「うちの子はいじめるような悪い子じゃありません。」という話もよく聞きます。
    私は小学生の6年間、いじめられ、死ねといわれていたのにこうして生きているのは、「未来の自分はきっと笑っているはず」と思っていたから。そして今、それが本当だったと実感してる。

  • #3

    child-mental-health (木曜日, 04 11月 2010)

    > ochinさん
    コメントありがとうございます。
    重すぎるテーマで,私ひとりでどうこうできるような話でもないので,書くのはずいぶんためらったのですが…いろんな方に読んでいただいていろいろ考えていただくきっかけになるのもいいかな,と思って記事を公開しました。

    いじめへの対応がうまく進んでいない場合には,自分の担当している患者さんであれば「登校することにこだわらなくてもいいのでは? 安全・安心がいちばんでは?」という話をお子さんと親御さんにしてしまうこともあります。

    学校や先生に大きく変化していただくための力を私もお子さんも親御さんも持ち合わせていませんから…何かが起きる前に,思い切って逃げる!というのもアリですよね。

  • #4

    child-mental-health (木曜日, 04 11月 2010 16:53)

    > かゆさん
    コメントありがとうございます。

    おっしゃるとおり,私もいじめているこどもたちへの支援は欠かせないと思っています。いじめているこどもたちの親御さんへの支援も必要かもしれません。

    そして,学校にすべての責任があるとも思っていません。

    ただ,いじめが現在進行中の場合,いじめられている子の安全を確保することが最優先事項だと考えます。

    いじめている子に短期的な介入をしても,それがすぐにいじめ消失の方向に作用するとは限りませんよね…多くの場合いじめる側もひとりではないでしょうし,いじめに加担するこどもたち,いじめを傍観するこどもたち…うまくいえないけれど「いじめるシステム」のようなものができあがってしまっていることが少なくないと感じるのです。

    それなら,学校で起きているいじめはやはり学校の先生にしっかり目を光らせていただく必要はあるのかな,とは思っています。

    診察室でこどもたちと会っていると,本当にツボを押さえて上手にいじめを防いでくださる先生がいらっしゃるという話も聞けて,それはとても嬉しかったり…そんな技をもっている先生方がもっと増えてくださればありがたいですね。

  • #5

    code-name02 (月曜日, 08 11月 2010 12:14)

    はじめまして。

    この度Jimdoの解説(マニュアル)本
    「Jimdoでホームページを作ろう」を
    出版させていただきました。
    株式会社コードネームの北原と申します。

    現在弊社で本と平行してJimdoサイトを
    運営しております。
    そのサイト内で
    「こころの小枝」さんのページに
    リンクさせていただいてもよろしいでしょうか。

    ここでは、Jimdoで作った様々なページを紹介するのが目的です。

    現在の掲載は以下のようになっております。
    掲載NGの際にはすぐに外します。
    http://code-name02.jimdo.com/リンク集/

    ご検討よろしくお願いいたします。