こどもの本心が聞きたいんですが…?

不登校やひきこもり傾向のあるお子さんをもつ親御さんが,診察のときなどに尋ねてこられることのあるご質問です。

お子さんは学校には行けていなかったり,外出の機会が少なかったりはするのですが,おうちでは比較的落ち着いて過ごせていて。

 

家族とも穏やかに話ができるし,家事なんかも積極的に手伝ってくれるし,今の状態にお母さんお父さんが特別困っていらっしゃるわけではない。

 

むしろ,安心しているし助かっているところもあったりして。

 

でも。

本当にこのままでいいのかな?

今のこの状態をこども本人はどう思っているんだろう?

本心を聞いてみたい…と。

 

きっと親御さんにもいろいろ思いがあるだろうと思うのですが,それをお子さんに押し付ける前にまずお子さんがどう考えているのか聞きたいって考えていらっしゃることが本当にステキだなぁ,と私は思います。

 

もちろん,「これからどうしたいと思ってる?」って聞いてあげていいと思うのですが,きっといきなり尋ねられても「こうしたい」という選択肢をお子さんはもっていないかも知れないし,考えることはあってもまだ迷っていたり,したいことがあってもできそうにないと思っていたりするかもしれません。

 

そうすると,せっかくお子さんに尋ねてもお子さんの答えをうまく引き出せないことになって,尋ねた親御さんのほうがガッカリしてしまったり,尋ねられて答えられなかったお子さんも悲しくなったりという結果にもなりかねませんよね。

 

お子さんに「どうしたい?」と尋ねる前にはたぶん段階が必要なんだろうと私は思うのです。

 

今お子さんがおうちで落ち着いて過ごせていることを,親御さんがどんなに嬉しく感じて,どんなに安心できているか。

 

お子さんが家事などの役割をこなしてくれていることが,親御さんにとってどれほど助かっていて,どれほどありがたいことか。

 

そのあたりのことがお子さんに十分伝わったところで,初めてお母さんお父さんの疑問を伝えてみます。

 

でも本当にこれでいいのかな,って感じることがあるんだよ。

あなたには本当は何かやってみたいこととかやろうと思ってることがあるんじゃないのかな。

ひょっとしたらそれを我慢したり,遠慮したり,無理かも…って諦めたりしてるんじゃないのかなって思ったりしてるんだよ。

それとも,今と違うことをしてみたいと思いながら,それが何なのかを思いつかなくて困っているのかも知れないね。

お母さんお父さんはあなたの味方だし,応援したいと思っているから,何か相談したいと考えていることがあったらぜひ教えてほしいと思ってるよ。…

 

お子さんの状態によって内容は変わってくると思うのですが,今のお子さんの状態をありのまま肯定的に受け止めていることを伝えた上で,手助けが必要なら協力しようと思っていることをしっかり伝えてあげて,お子さんが今の気持ちを話しやすくなる土台を作ってあげるといいのかな,と思います。

 

もちろん,すぐに答えが返ってくるとは限らないけれど,お子さんはこれでずいぶん安心されるのではないでしょうか。準備が整ったらきっと気持ちを伝えてくれるはずです。

 

お子さんの本心を打ち明けてくれる日が遅かれ早かれ訪れることを願っています。

 

こんなときどうする