発達障害の早期介入に必要なこと

この週末はあまりPCに向かう時間が作れませんでしたが,今日のできごとを少し書いておこうと思います。

今日は,地元の小児科開業医の先生とお食事会でした。

 

お食事会といっても,小児科医3名と私,というこじんまりとしたカジュアルな会食だったのですが。

 

主催してくださったのは,地元で熱烈なファン(患者さんであるこどもたちのお母さん)の多い,ベテランの小児科医。

 

本当にたくさんの子どもたちを診療していらっしゃるそうですが,そんな多忙な中でもこどものこころの問題にも関心を持ってくださっている先生です。

 

話題が発達障害に及んだとき,その先生がおっしゃいました。

 

「最近は早期発見・早期介入とか言って,保育園や幼稚園に訪問してどんどん発達障害疑いの子を見つけ出すような動きがある地域もあるみたいだけど,あれは間違ってる。親も我が子が発達障害だなんて感じていないのに園で指摘されて,療育機関を受診してみるよう勧められるなんて…」

 

それを聞いて,ちょっと考えさせられました。

 

たしかに,親御さんに困りごとや心配ごとがないのに「お宅のお子さんは発達障害だと思われるので一度受診してください」というのはおかしな流れのように感じます。

 

もしかしたら実際にはお子さんは園での集団生活に困っていて,受診につながったほうが結果的にラッキーだった,ということはあるかもしれませんが,ある日突然予想もしない受診勧告を受ける親御さんの気持ちを思うと,ちょっとそれは強引なんじゃないのかな…と。

 

でも,果たして早期発見・早期介入が間違っているかと言われると,…やっぱり意味があるだろうと思うのです。

 

たとえば感覚統合などを活用して脳機能の発達を効果的に促すような介入ができるだろうし,特性に気付くことでお子さんにわかりやすい環境を整えたりご両親はじめお子さんに関わる周囲のおとなたちの理解が得られたりすれば,お子さんが自己肯定感を損なわずに過ごせて,結果として二次障害の軽減にもつながっていくだろうし。

 

つまり,早期発見・早期介入は間違ったことではない,と私は思うのです。

問題は,早期発見したときの支援者の関わりかたなんじゃないのかな,と。

 

親御さんに,「発達障害かも」と伝える前に,療育機関への受診を勧める前に,できることがありそうですよね。

 

たとえば,「お子さんはこういう活動は得意でとっても上手。だけどちょっとこういうところは苦手そうなので,園でもみんなと繰り返し取り組んでいこうと思いますが,おうちでも少し一緒にやってみてあげてくださいね」とお母さんに伝えてあげるとか。

 

療育機関に行かなくたって,発達障害というレッテルを貼らなくたって,早期介入的な関わりは始められるはず。

 

園でも,家庭でも。

 

まずはそれをやってみて,それでもやっぱり難しいことが出てきたり,親御さんのほうでも心配なことが出てきたりしたら,それから療育機関のことを勧めてもらってもいいですよね。

 

発達障害特性の理解が進んできたこの時期,私たちが力を入れて取り組んでいくべきことは,支援に必要な具体的方策への理解を深めたり,親御さん・お子さんとの状況共有を上手に進める方法を身につけることだったりするのかな,と感じたできごとでした。

 

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コメント: 7
  • #1

    かゆ (月曜日, 22 11月 2010 00:49)

    早期介入的関わりの必要性、本当にあると思います。先日ツイッター上でもつぶやいたのですが、何度教えても何度いっしょに取り組んでも、なかなかできない、理解できないことが多くて、私たち親の努力は報われないな~と感じるのです。でも、それが一年後、五年後もしくはもっと先に、「あの時がんばっておいてよかった」「あのとき教えたことがようやく身についた」ということになっているように感じます。発達障害や知的障害に限らず、子育ての上では大切なことなのかもしれませんね。親は困っていなくても、周りが困っていたら、やはり気づかせる必要があると思います。でも、なかなかそういう親は気づいてくれないんですよね。

  • #2

    はじめ (月曜日, 22 11月 2010 07:23)

    「親御さんに困りごとや心配ごとがない」というところに若干ひっかかりました。特に第一子の場合、比較対象がありませんので「子どもなんてみんなこんなもの」と思いこんでいるだけかも知れませんし、あるいは「多少、発達速度の差異はある」という自己防衛的な発想にとらわれてしまっているだけかも知れません。
    当方、児童相談所での心理士さんのチェックで「他のお子さんは、もうそんなことまでできるんですか」と驚いたことがありますので。

    親へのアプローチについてはおっしゃる通りだと思いますが、保育園や幼稚園の先生でも療育的な関わりのできる人はそう多くありません。診断名をつけることが良いとも言えませんが、本腰を早くあげさせる方が、結果として(親御さんのショックはありますけど)お子さんにとってよりよい結果になるのではないかと思います。

  • #3

    child-mental-health (水曜日, 24 11月 2010 17:26)

    > かゆさん
    レス遅くなってごめんなさい。
    介入が早いほうが柔軟性に期待できたり,余計な傷つきを防ぐことができたり,いいことはいろいろありますよね。
    本当に難しいところだと思いますが,支援者の「早く何とか力になりたい!」という思いがうまく親御さんに届くことが早期介入ではいちばん重要なんじゃないのかな,と思うのです。
    「お子さん,こういう面がありますよね~」と言われて「そう,そう! じつは家でもちょっと気になってて」という流れになれば支援を進めやすいけれど,「お子さんは発達障害だと思うんです」っていきなり診断っぽいところから入られたら「え,何でそんなことを?!」ってなっちゃいますもんね。

  • #4

    child-mental-health (水曜日, 24 11月 2010 17:30)

    > はじめさん
    レス遅くなってしまってごめんなさい。
    ちょっと説明不足でしたね,ごめんなさい。
    文中で「親御さんに困りごとや心配ごとがない」と書いたのは,誰かに向けて困りごとや心配事を表明していない,という意味です。たしかに人知れず「この子,大丈夫だろうか…?」と悩んでいらっしゃる親御さんもおられるだろうと思います。
    そういう親御さんも含めて,いきなり診断名や病名から支援者が切り出すよりも,具体的にこんなところが気になるんです,というかたちで入っていって「じつは心配してたんです」って親御さんが受けてくださるような流れで専門機関へつないでいただけたら嬉しいなぁ,と思っています。

  • #5

    Maa-chan(管理人による転載) (水曜日, 24 11月 2010 21:12)

    「違和感の共有」

     発達障害に限らず,障害のあるお子さんの「早期発見・早期療育」は私たち「専門職」にとっては「常識」になっています。しかし,なかなか浸透していかないのは,そもそもの発想が「専門職目線」だからではないか,と思ってしまいます。

     よく「医療(療育)機関につなげなきゃ」とも言われますが,医療機関に行くのは具合が悪いと自分自身や,こどもであれば親が感じた時ですよね。

     その視点を,発達障害の「早期発見・早期療育」にも持ち込めないか,と思います。


     適切な表現ではないのですが,保護者さんもお子さんへの「違和感」は感じていることもたくさんあると思います。私たちはまずその「違和感」に寄り添い,共感していくことから始めることが大切なのかな,と思っています。

     さらに小学生や中学生のように「年齢を重ねた」こどもであれば,周りの人からの言葉で本人も保護者さんも傷付き体験を数多くしていると思います。そんな傷に理解・共感することも必要かな,と思います。


     当たり前のことなのですが,もう一度このプロセスを専門職がきちんと認識することが,大切なのではと感じられます。

  • #6

    child-mental-health (水曜日, 24 11月 2010 22:58)

    > Maa-chanさん
    アメブロへのコメントありがとうございました。
    とっても同感です。親御さんが「あれ? ちょっと気になるな…」と感じていること(まさに違和感ですよね)の延長上にこそ相談や受診があるわけで,そこが共有できるような関わりを支援職にある者がしていかないといけない,と私も思います。

  • #7

    mgokano (日曜日, 05 12月 2010 13:13)

    同感です。早めに取り組めること、ポジティブな気持ちで臨めることは大切だと感じます。