2010年

11月

25日

LD(1) 定義と特徴

学習障害ということばは,ちょっと混乱を招きやすい状況になっています。

 

というのも,教育の現場で使われる「学習障害」と,精神医学の現場で使われる「学習障害」が違う意味をもっているからです。

 

教育のほう,つまり文部科学省の定義によれば,

 

「学習障害とは、基本的には全般的な知的発達に遅れはないが、聞く、話す、読む、書く、計算する又は推論する能力のうち特定のものの習得と使用に著しい困難を示す様々な状態を指すものである。
 学習障害は、その原因として、中枢神経系に何らかの機能障害があると推定されるが、視覚障害、聴覚障害、知的障害、情緒障害などの障害や、環境的な要因が直接の原因となるものではない。」

 

という表現になっています。

困りごとのパターンとしては,聞く・話す・読む・書く・計算する・推論するの6つが挙げられていますね。

 

精神医学のほう,たとえばアメリカ精神医学会が定めた診断分類(DSM-IV-TR)によれば,読む能力の困難(読字障害),書く能力の困難(書字表出障害),計算する能力の困難(算数障害)の3つだけが学習障害のなかに含まれているのです。

 

もちろん,学会の定めた診断分類は,研究などを行うために厳密な診断をつけることを目的に作られているので,より厳密に範囲をせばめて定義されていても不思議ではありません。

 

でも,診察室でお子さんや親御さんと一緒に考えてみると,精神医学的な学習障害には含まれない難しさ(聞く・話す・推論する)だってとっても大きな学習上の困難をもたらすわけで…,

 

やっぱり,支援を考える上では「学習障害」を幅広く捉えたほうがよいのかな,と思ったりします。

 

学習障害の特性をもっていると,学習の場面で具体的には次のような難しさを抱えやすくなります。

  • 先生の指示が覚えられない・聞き漏らしてしまう
  • 紛らわしい音のことばを聞き間違えてしまう
  • 相手にわかるように話すことができない
  • しゃべることの内容や表現が乏しい
  • 板書をノートに書き写すのが難しい・時間がかかる
  • 丁寧に書いているのにキレイな字にならない
  • 漢字を覚えるのが苦手
  • 新しい単語や綴りの長い単語がなかなか覚えられない
  • 単語や文章を書くと誤字や脱字が多い
  • 文章で表現することが苦手
  • 絵や図などを描くのが苦手

 

そして学習以外にも,こんな難しさが表れることがあります。

  • 手先が器用ではない
  • ボール遊び,縄跳び,片足跳びなど身体を大きく使う運動が苦手
  • 遊びやスポーツのルールを覚えるのが苦手
  • 集中力が続きにくく,疲れやすい…

 

なので,授業中に限らず学校生活のいろんな場面でも困難を感じていて,学習障害の特性をもつお子さんは毎日がとてもつらいだろうと思います。

 

(次回に続きます。)

 

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