2010年

11月

26日

LD(2) 難しさと支援の方法

前回書いたように,学習障害の特性をもっていると,勉強時間だけでなく学校生活のいろんな場面で難しさを感じることになってしまいがちです。

じつは学習障害の「難しさ」は,情報を取り入れて処理するプロセスがうまくいかないところから来ています。

 

学校の授業の風景を思い浮かべてみると…,先生や発表する生徒の話を聞き,教科書や黒板をを読むことで,学ぶべき情報を取り入れることになりますよね。

 

つまり,耳からの情報(聴覚情報)と目からの情報(視覚情報)をあたま(脳)のなかに取り込んで,それを理解したり記憶したり,過去に記憶したものをまた思い出したりすることが勉強には必要になります。

 

学習障害の特徴をもつお子さんは,耳は聞こえている(聴力に問題はない)としても,目は見えている(視力に問題はない)としても,耳や目から取り入れた情報をうまく処理できていない…処理するための脳のはたらきがうまくいっていないのです。

 

たとえば聴覚なら,耳は聞こえているけど教室のざわめきや外を通るトラックの騒音の中から先生の声だけを上手に拾い上げることができなかったり,先生の声が聞き取れていてもそれをあたまの中に留めておけなかったり,音としては聞き取れてもそれを意味のあることばとしてあたまの中で変換できなかったり。

 

視覚なら,漢字は見えていても横棒が何本あるかわからなかったり,横棒の長さの違いがわからなかったり,棒と点の位置関係がうまくつかめなかったり,文字がちゃんと見えてもその形を覚えておけなかったり,文字と文字の境目がうまく区別できなかったり。

 

うまくいっていない理由が脳のはたらきにある以上,「がんばればうまくいく」「やる気がないからできていないだけ」という話ではありません。努力だけでどうにかできることではないのです。

 

まずは,お母さんお父さんが,お子さんのがんばりが足りないせいでうまくいっていないのではない,ということをしっかり理解してあげることがとても大切だと思います。

 

そして,いちばん困難を抱えやすい学校という場でお子さんを見守ってくださる先生に,そのことをきちんと伝えます。

 

「学習障害だから,手助けが必要です」では,先生にはどんな支援が必要なのかがわかりにくいと思います。

 

病院や療育機関で受けられる検査などから,脳のはたらきのうちどういう部分が苦手なのかをある程度知ることができるはずですので,その結果からどういう情報処理が苦手で,どんなふうにしてもらえればお子さんにとってわかりやすくなるかを具体的に伝えてお願いしたほうが,お子さんにとっては過ごしやすい授業時間になるはずです。

 

たとえば,机を教壇の真ん前にして先生の声に注目しやすくしてもらう,教科書を拡大コピーして行と行・文字と文字の区別がしやすいようにする…そんな工夫があるだけで授業が格段にわかりやすくなることがあったりします。

 

もちろん学校の先生にどう説明するのか悩まれるところがあれば,検査の結果を知らせてくれた医師などの支援者にアドバイスをもらうこともできます!

 

お子さんが少しでも学校生活への不安を減らすことができるように,自信をもちやすく楽しい気持ちで学校の活動に取り組めるように,理解してもらえるひとの輪を上手に広げていけたらいいなぁ,と思います。

 

学習障害トップ

コメントをお書きください

コメント: 2
  • #1

    かゆ (日曜日, 28 11月 2010 12:21)

    その具体的にこうしてもらえればわかりやすい、というところを見つけることが実は親にとって本当に難しいんです。具体的な部分がわかれば、どんなに楽でしょう。そのツールをたくさん持っている人が身近にいたら、どんなに助かるでしょう。
    たとえばの話・・・
    ひらがなが読めないということで、形をなぞったり文字盤を使ったり、という手立てもありますが、どうしてもできない。そこでうちは家中のもの(時計や窓や扉、テレビなど)にひらがなで名称を書きました。でも一枚の紙に書いてもダメ。そこで、「とけい」なら「と」「け」「い」と一枚に一文字書いてみる。そうしたら、あっという間に読むことができました。ここにたどり着くまでに半年・・・
    今度はひらがなが書けない・・・そこで、ノートのマスや行の線をはずして、真っ白な紙を渡したら、なんとすらすら書けました。これもそこに気がつくまで半年以上。
    時計が読めない。それも、上半分(9~3時)は読めるのに下半分(15~21時)が読めない。そこで、手を時計回りにぐるぐる回す練習をして、下半分の時計の動きを体感。そうしたら読めるようになりました。ここに気がつくのに、4年くらいかな・・・
    そこに早く気がつくことができていたら、学校での活動がもっと楽にできただろうな、と感じます。
    きっと、今困難なことも、他の方法を伝えてあげたら、きっとできるようになるんだと思う。その「他の方法」を今も必死で探しています。
    具体的に学校にお願いする、そこまでが遠い道のりです。

  • #2

    child-mental-health (月曜日, 29 11月 2010 00:46)

    > かゆさん
    コメントありがとうございます。
    本当に,とても重みのあるコメントだなぁと思いました。
    普通に読み書きできてしまうひとには思いもよらないところで難しさを抱えているんですよね。そして,何故それが困難なのかがなかなか周囲にはわからない…。
    本当は,療育専門機関などで検査や活動場面の観察などから視覚的な認知機能を詳しく調べてもらって,その結果からわかることを学校に伝えられればいちばん早いのかもしれません。でも,それもそう簡単にはいかないんですよね。誰もがそういうチャンスを得られるわけではないですし…。

    現実的には,ご家庭で気付かれたことをひとつひとつ学校に伝えていただくことになるのかもしれませんし,それには時間が掛かってお子さんにとってもしんどい期間を長びかせてしまいかねませんね(それでも,親御さんが気付いてくださるたびにお子さんはすごく救われているだろうと思います)。
    もしも決まった主治医がいるのなら「こんなことはこういう工夫で乗り切れた」「こんなときにはこの方法がうまくいきそうだ」といったことをひとつひとつ報告してみると,脳のはたらきなどから共通して役に立ちそうな部分に気付いてくれて,主治医のほうから「じゃあこういうときにはこのやりかたが役に立つかもね?」といった提案をしてくれることもあるかもしれません。
    どうか諦めずに,ひとつひとつでもお子さんにあった方法にたどり着いてあげていただきたいなぁ,と思います!