こんなことを喋ってていいんでしょうか…?

実際に診察室でお受けしたことのある質問です。

「僕,診察室でこんなことを喋ってていいんですか? こんな他愛もない話を聞いてもらってて…意味があるのかな,って」

 

診察を始めて1年くらいだったか,元々不登校が主訴だった彼が学校には通えるようになっていて,それでもなかなか自分がうまくやれている実感をもちにくかったり,ちょっとしたことでとても気分が落ち込んでしまったりして。

 

友達との上手な距離の取りかたとか,日常生活での上手な手の抜きかたとか,そんな話が増えてきたなかで,自分から先の質問をしてくれたのでした。

 

 

診察室に少し続けて通っていると,元々相談しようと思ってた主訴(主な悩みごと)と今相談したいと思う主訴がだんだん変わってくることはよくあります。

 

最初の主訴が解決したあとで新たな悩みに気付くということもあれば,最初はこれが悩みだと思っていたことよりも重要な悩みが見えてくることもあります。

 

そのとき,「元々の相談内容とは違うんだけど,この話をしててもいいんだろうか?」と感じてくださるセンスって素晴らしいな,と私は思ったんです。

 

漫然と相談や受診を継続するんじゃなくて,今自分は何のために通っているのか?って目的意識をきちんともって通ってきてくださっているということですもんね。

 

 

先の質問には,私はこんな感じでお答えしました。

 

私にとっては,あなたの今の困りごとは今話してくれている内容だと思っているし,その悩みにはとても意味があると思ってお話をお聴きしてます。

 

でも,もしもあなたがもっとほかに相談したいことがあるのに,何となくそれを我慢したり押し殺したりして今の話をしてくれているとしたら,それはあなたにとっては意味がない話ということになるかもしれませんね。

 

もし,今の受診があなたにとって意味がないのなら,それはこれからどうするかを考え直す必要があると思うけど…どうなのかな,と。

 

 

それで,少し時間を掛けて話し合って,診察は続けていくことになりました。

 

 

「この診察にどういう意味があるんだろう?」と感じたとき,その問いを主治医の先生に突きつけることにはちょっとためらいを感じるかもしれません。

こんなこと今さら言うなんて,失礼じゃないのかな? とか。

 

でも私たちは,患者さんがいちばん相談したいことを話していただけることを話していただくのがいちばんだと思ってお話をお聴きしています。

 

継続中の診療のなかでも「ホントにこれでいいの?」って方向性を確かめていただくのはむしろ嬉しいことです。

 

どうか主体的に診療の場に臨んでいただいて,ご自身にとって役に立つように精神医療を活用していただけたら嬉しいな,と思います。

 

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