ADHD(3) お薬以外の対応のコツは?

3日連続になってしまいますが,今日もADHDのお話です。

今日のテーマは,薬物療法以外のADHD特性への対応について。

 

薬物療法の比較的有効なADHDではありますが,お薬を飲む以外にも効果的な工夫に取り組むことができます。

 

それは,たとえばまわりの環境を整えること。

 

気になることをほうっておいて本来集中するべきものに注意を向け続けることが難しいADHD特性を考えると,周囲から「気になりそうなもの」を減らしてあげることはお子さんを落ち着きやすくさせてくれる大事な工夫です。

 

学校の教室なら,黒板まわりにカラフルな掲示物や装飾をしないとか,授業中にはメダカの水槽を見えにくくするとか,ADHD特性をもつお子さんをいちばん前や隅の席など刺激に気が散りにくい席になるよう配慮してあげるとか。

 

それでもじっと座っているのが難しいお子さんもいるので,授業の途中で先生のところへノートを見せに行くような「誰もがあたりまえに立ち歩く時間」を作って,動きたい衝動をさりげなく満たすような工夫も効果的だと思います。

 

自宅でも,勉強机のまわりに本やマンガ,ゲーム機,テレビを置かないようにするなど「気になりそうなものを減らす」という工夫はできそうですね。集中力を削ぎやすい魅力的な刺激をお子さんの身の回りから遠ざけておくことは,お母さんお父さんがお子さんを叱らなくてはならないような状況を防ぐことにもつながります。

 

お子さんと接する時間がいちばん長い親御さんが,お子さんを叱ったり責めたりすることが少なくて済めばそれだけ挫折体験の積み重ねや親御さんとの感情的なこじれを減らすことができてお子さんの自己肯定感を保つことができやすいはず…,

 

なので,お母さんお父さんにADHD特性をもつお子さんとの上手な関わりかたを教えてくれるようなプログラムがアメリカで開発されました。

 

ペアレントトレーニングと呼ばれるこの方法,大雑把にポイントだけ書いてみますね。

  1. お子さんの行動をじっくり観察して,次の: (1) 好ましい行動 (2) してほしくない行動 (3) してはいけない行動 の3つに分けます。
  2. 「好ましい行動」を褒める練習をします。「好ましい行動」をしているとき,やり終えたとき,取り掛かろうとしているとき,…いろんなタイミングや機会をとらえて褒めることができそうですね!
  3. 「してほしくない行動」をしているときは見て見ぬフリをしておいて,「好ましい行動」に向かいそうな瞬間に褒めます(「してほしくない行動」にはあえて注目しません)。
  4. してはいけない行動は制限します。

もっと具体的なコツも紹介されているのですが,基本はこういう雰囲気です。

 

日本でもペアレントトレーニングに基づいて親御さんの関わりかたのコツを教えてくれるような講習会や勉強会をやっている療育機関もあります。

 

勉強会まではちょっと…という方でも,お母さんお父さんが読んで独学できるような本もたくさん出版されていますので,まずそのあたりから触れてみるのも手軽でよいかも知れませんね。

 

いくら薬物療法が有効といっても,いつもいちばん身近でお子さんをみていらっしゃる親御さんにとっては,お子さんに現れるADHD特性による「うっかり」や「落ち着きのなさ」にはヒヤヒヤしたり腹が立ったりということが日々あるだろうと思います。

 

お薬の力を借りたり,必要以上に叱らずに済む工夫をしたり,そして親御さん自身のリラックスや気分転換の方法を上手に取り入れたりすることで,お子さんの自尊感情やよい親子関係も保ちながら,将来は自信や努力意欲をもったおとなに成長できるように支えていただけたら嬉しいなぁ,と思っています。

 

やっぱりいちばん近くでお子さんのことを応援してくださるお母さんお父さんは,お子さんにとってとても大切な存在ですから…。

 

もしも,どうしても対応が難しい,うまくいかない…と感じられたら,ぜひ医療機関や相談機関を活用して,しっかりサポートを受けてくださいね。

 

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