ASD(2) 社会性の障害って…

今回は,3つ組のひとつめ「社会性の障害」のお話です。

 

社会性の障害ということばは,人と人との基本的な関わりかたの「質」に特徴がある,という意味です。

 

ただ単に人との関わりの量が多い/少ないというわけでも,人との関わる能力の発達が単純に遅れているというわけでもありません。

 

たとえば,こんな感じです。

  • 人への関わりかたが一方的になりがち:自分の言いたいことはとても上手に伝えられるのに,相手の言うことはそれほどうまく受け止められていないことがあります。コミュニケーションのキャッチボールにならない,といったことが起こります。
  • 同年齢のこどもたちと相互的な関係をもつのが難しい:年下のこどもたちには自分の意図をうまく伝えて指示することができたり,自分に合わせてくれる大人との関わりは上手にもてたりするのですが,その時々で立場が臨機応援に入れ替わる同年齢のこどもたちとはなかなかスムーズにやりとりすることが難しかったりします。
  • 場にふさわしい行動を取るのが難しい=社会的参照:たとえば,2-3歳のこどもが生まれて初めて結婚披露宴に参加したとします。いつものようにパパとママが一緒にいて,目の前にはごちそうもいっぱいあるけれど,まわりにはいっぱいテーブルがあって,おしゃれな服を着た知らない人もいっぱいいて,何よりもみんなに拍手されてるお姫さまと王子さまのような人がいる…。そんなとき「あれ,なんかよくわからないけど,今まんまを食べてもいいのかな? 楽しい気持ちになってきたけどお歌は歌っていいのかな?」と確かめるように自然にパパやママの表情を窺うこと,それが社会的参照です。今自分がどうするべきかを,まわりの情報を読み取って判断することが,自閉症スペクトラム特性をもつ人ではうまくいきにくかったりします。
  • 年齢相応の「いわゆる常識」が身につきにくい:まだ就学前のこどもでも,「これは自分のものじゃないから触っちゃダメだ」とか,知らない人に優しくされても気を許しすぎないとか,家族の前でやるようなおふざけも他人の前ではやらないとかいった,「人の領分」「警戒心」「羞恥心」のようなものがなんとなく理解できていることが多いものですが,特別誰かに指示されなくてもそれなりにわかるはずの「常識」を身につけることが困難である場合があります。
  • 感情の難しさ:自分が不快だということはわかっても,それが悔しさなのか怒りなのか苛立ちなのかといった具体的な感情として気付けなかったりうまく概念化できないことがあります。独特の感情状態のために誰かと自分の感情を共有するのが難しかったり,相手の感情に気付いて共感するのが難しかったりすることもあります。

文章だけで長々とお伝えしてもちょっとわかりづらかったかもしれませんね。

 

こういった特徴のために,悪気はないのに相手に「あれ…?」と思われてしまったり,思わぬ誤解を与えてしまったりすることが起きやすいのです。

 

でも,悪意がないことが相手にちゃんと伝わったり,素直でまっすぐなところがわかってもらえたりすれば,「ちょっと独特だけど面白くて結構いいヤツ」「型破りなところもあるけど,なんだかワクワクさせてくれる」などと受け入れられることもあったりします。

 

社会性の障害がどのように受け止められるかは,周りの環境との相互作用で決まる…。

 

そのことをこどもたちと関わるおとなたちは意識しておくことが大事だろうな,と思います。

 

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