ASD(6) 社会的イマジネーションの障害って…

今回は,自閉症スペクトラムの特徴である3つ組の3つめについて書いてみます。

3つめは,社会的イマジネーションの障害です。

 

ことばとしては3つ組のなかでいちばんわかりにくいのではないかと思います。

 

平たく言うと,目の前に具体的にはないものを直感的に扱うことが苦手,ということです。

 

たとえば,

  • 概念:「豊かさ」とは何か?
  • 結果:どうするとどうなるか?
  • 経緯:どうなって今に至ったのか?
  • 可能性:この先どうなるか?

のように,抽象的なものやまだ見えていないもの,過ぎ去ってしまったことを上手に捉えて思い浮かべたり相手に伝えたりすることが難しかったりします。

 

そのために,たとえばキレイに包装されて中身のわからないプレゼントを受け取ったときなど,わくわくするよりも不安な気持ちになる,といったことも起こります。

 

この包みのなかに自分のほしいものが入っていると思い込んで(相手には自分のほしいものを教えていないのに「当然知っているだろう」と考えているとしたら,心の理論にも通じますね),それが実際と違ったときには気持ちを切り替えることが難しかったり…。

 

相手は自分のためにそのプレゼントを選んでくれたのに「これは僕のほしかった△△じゃないよ!」と起こってしまうこともあるかもしれません。

 

要するに,プレゼントの中身のような「不確定であること」自体をうまく楽しむことができないのです。

 

そして,予定外の事態に臨機応変に対応することが苦手です。

 

だからこそ,いつもどおり・予測どおりであってほしいし,それなら安心できます。

 

新しいことにはなかなか積極的に手を出そうとはしません。

 

ほんのちょっとでも予定や計画が変わると,その中の変わらない部分や重要な部分を保って実行するのは難しくなります。原理や原則を抽出するのは得意ではないのです。

 

予定外・予想外が苦手なのはわかっているので,ルールどおり・秩序どおりに自分も動きたいし,まわりの人にもルールや秩序を守って動いてほしいと思っています。

 

 

さて,ここまで読んでいただいて「イマジネーションってそういうこと?」とちょっと意外に思われたかたもいらっしゃるかもしれません。

 

イマジネーションということばは「想像力」とか「空想」といったものを連想させるものでもありますよね。

 

自閉症スペクトラム特性をもっている人は,空想することはとっても得意なことが結構多かったりします。

 

自分だけの大切な空想の世界,ファンタジーの世界をもっていて,頭のなかでそれを味わってリラックスしたり,今のつらい状況から休息を取ったり,といったこともあるようです。

 

3つ組でいう「社会的イマジネーション」は楽しく空想を繰り広げることとは違って,人との関わりや物事の因果関係などに関する想像のことだという点はぜひ覚えていていただきたいと思います。

 

たとえば,

 

「そんなこと,ちょっと考えたらわかるじゃないの!?」

「いくらトラブルが起きたって,大事なことは変わりないでしょう?」

 

そばで見ているとそんなふうに言いたくなるような場面で,じつは本当にわからなくなって途方に暮れていたりすることもあるのが,自閉症スペクトラム特性をもつこどもたち。

 

どうか,頭ごなしに叱る前に「ここのところで判断に迷ったのかな?」って,おとなの側が想像を豊かにして,穏やかに掛けてあげていただきたいな,と思います。

 

自閉症スペクトラム