ASD(8) 3つ組以外の症状,その2

自閉症スペクトラムについて,今回は3つ組以外によくみられる症状のふたつめのことを書いてみます。

自閉症スペクトラム特性の3つ組と併せて,運動や身体の使いかたの苦手さをもっていることも結構多かったりします。

 

運動は,大雑把にいうと手先などの細かい動きが必要なものと身体を大きく使うものに分けられます。

 

手先の細かい動きが苦手だと,たとえば服のボタンを留めたり靴紐を結んだり,字をきちんと書いたりすることが難しいことがあります。

 

本人は一生懸命丁寧にやっているつもりでも,時間が掛かってしまったりできあがりが雑に見えたり。こういうことも学校生活などでは叱責やからかいのもとになってしまいがちなのでお子さんにとってはとても苦痛だろうと思います。

 

3つ組とは違って,この特徴は自閉症スペクトラム特性をもつ人全員に共通するわけではないので,逆にとても手先が器用で,ものすごく小さくてリアルな粘土細工を作ったり,ビーズで小さくて複雑な作品を作ったりするのが得意,なんていうこどもさんにお会いすることもあります。

 

身体を大きく使った動きについては,複数の部位を同時に動かしたり目から入った情報に応じて身体の動きを微調整したりするものが特に苦手という話をよく聞きます。

 

たとえば,なわとび。

なわとびは手首で縄を一定のスピードで回しつつ,縄が足下に来たタイミングでジャンプして飛ぶ運動です。単純なようで,じつは結構複雑だったりします…。

 

それから,球技全般も難しいスポーツのひとつです。

たとえば野球やソフトボール。外野フライを捕るときのことを想像してみると,遠くから飛んでくる小さなボールを空中に見つけて目で追いながら落下点へ走り込み,グローブを構えて落下地点で待ち,ちょうどいいタイミングでグローブを閉じるわけですよね。さらに,ツーアウトでないときにはランナーの動きを予測しておいて,どの塁に返球するか瞬時に判断して内野へ投げ返さないといけません。

 

身体の動きもさることながら,一度に複数の情報処理をすることがあまり得意ではない自閉症スペクトラムのお子さんには本当に難しいことだろうと想像できます。

 

もちろん,こういう一連の運動の流れがとてもスムーズにできるというこどもさんもいらっしゃることがあるので一概には言えませんが…。

 

たとえ野球やソフトボールがあまり得意でなくても,おとなになれば別に誰もが野球をしなくてはいけないというルールもないので,「野球をあえてやらない人生」を選ぶことができます。

 

縄跳びだって,大人になっても習慣的にやっているという人はあまりたくさんはいらっしゃらないだろうと思います。

 

でも学校生活ではそうはいきません。

 

体育の授業でどうしてもみんなと同じスポーツをしなくてはならないシーンがあるでしょうし,長縄跳びやソフトボールとなると,自分の失敗はチームや全体の失敗につながるのでこれもまた自信を失う原因となってしまいがちです。

 

学校の先生がたには,ぜひこうした苦手さをもつこどもたちがいる(たとえ努力していても…)ということを念頭において,彼らが仲間たちから責められずに済むような配慮をしながら授業を進めていただきたいな,と切に願います。

 

そして,親御さんやお子さんご自身には,みんなと一緒に苦手なスポーツにわざわざ取り組まなくてはいけない時期はそう長くは続かないということを意識して,学校以外の場で自分の得意なことを楽しめるような場面をぜひもっていていただけたら嬉しいなぁと思っています。

 

自閉症スペクトラム

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コメント: 2
  • #1

    ポンチョ♪ (金曜日, 07 1月 2011 17:41)

    以前読んだ本に、手先の細かい運動(微細運動)が苦手な場合は、ひじから上の腕全体を動かす運動をすることで、改善されていくとありました。
    たとえば、腕を大きく動かしてボールを投げたり、ドラムの練習をしたりすることが良いそうです。
    うちの娘も、鉛筆で書く字よりも筆で書く字の方がうまかったりします。同じお習字でも、書初めなどの大きな字の方が良いようです。
    小学校時代は、原稿用紙をA3に拡大して書かせていました。大きな字で書けるようになると小さい字も書けるようになるということもあるようです。
    それでもまだまだ・・・なんですがね。(現在中3です)

  • #2

    child-mental-health (火曜日, 11 1月 2011 00:31)

    > ポンチョ♪さん
    コメントありがとうございます。
    たしかに,そういう話を聞いたことがあります。細かい理論付けはわからないのですが,おそらく発達の順序として粗大運動→微細運動という流れがあって,だから粗大運動のほうからしっかり伸ばしていこうということなのかもしれませんね。
    いろいろできるようになるに越したことはないけれど,まずは「全力でがんばってるけど,どうしても不得意なこともある」とまわりにわかってもらって,余分なしんどさだけでも軽減できたらいいなぁ,と思います。少しずつでもいろんな力が伸びていくと思うので,それをお子さんと一緒に喜び合えたらいいですね♪