おもてなしのこころで…

ある家族グループの日のこと,スタッフが入室してみると,新しい参加者さんご夫妻のおふたりだけが早めにその部屋に来られていて,なぜかおふたりとも泣いていたのだそうです。

…えっ?!

スタッフは内心動揺しつつも「こんにちは」と声をお掛けして,それから何かあったのかをおそるおそるお尋ねしてみたら,お母さんからこんなお返事が返ってきたとのことでした。

「いえ…なんだかこの病院に入ってきたら,ここでは私たちのこと受け容れていただいているなぁ…って思っちゃって」

お子さんはひきこもり傾向があったのですが,これまで他の医療機関などへの受診歴ありませんでした。

「それまで息子のことをどこで相談していいのか本当にわからず,初めてここを受診した日はとりあえず息子がなんとか行く気にはなってくれたので,お父さんも誘って不安でいっぱいな気持ちで駆け込んだ,という感じでした。でも息子は定期的に診察に通えるようになって,グループにも参加できるようになって,こうして私たちまでこうしてグループに呼んでいただけて…。あぁ,家族まるごとあたたかく受け容れられてるな,『ここに来ていいよ』って言っていただいてるんだな,と…」

と初めていらっしゃった日を思い起こしながら話をしてくださいました。


正直なところ,私たちがすごく特別なホスピタリティでおもてなしをできているわけではありません(お恥ずかしい話,空調も満足に効いていないような環境だったりして…)。

でも。

来院を決意されるまでの孤立感。
受診を決めてからの不安な気持ち。

そうしたことを乗り越えて病院にたどり着いてくださったからこその大きな安堵感が,お母さんが涙を流してくださるほどの「受け容れられた」という感覚につながっているのでしょうね。

本当に,よくぞ来てくださったなぁ! と思います。


こんなにも心細い気持ちで病院までたどり着いてくださっているお子さんたち,親御さんたちの思いを忘れずに,めいっぱいのおもてなしのこころでお迎えできたらいいな,と改めて感じました。


そして,受診や相談につながることを今検討してくださっているお子さんやご家族のかたがもしもこの記事を読んでくださっているなら。

ぜひ,思い切って一度病院や相談機関を訪ねてみていただきたいなぁ,と思います。

その勇気が,お子さんやご家族の未来を切り拓くことになるかもしれませんから…。

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コメント: 2
  • #1

    森戸やすみ (金曜日, 21 1月 2011 17:56)

    私も自分が子供を持ってから、乳児連れの外出がこんなに大変なものかと思いました。
    そんな思いをしても家から出て病院に来るというのは、よっぽどだったのだろうと衿を正す気になりました。
    なので今は本当に些細な事で来られる方が多いので「せっかく来たんだから他に何か聞いておきたいことがありますか?」と言っています。
    そういうことがゆっくり話せる環境でよかった!

  • #2

    child-mental-health (火曜日, 25 1月 2011 23:14)

    やすみさん,コメントありがとうございます♪
    そうですよね。来てくださるにはやっぱりそれなりの事情がある…あたたかい気持ちでお迎えしたいなぁと思います。
    もちろん,コンビニ受診を推奨するつもりはないのですけどね。