何とか言ってあげたいけれど。

世間は今,受験シーズン。

試験を受けるお子さん本人はプレッシャーのなかがんばっていることと思いますが,応援する親御さんにとっても試練のときですよね。

いつだったか,ある受験生のお母さんが,お子さんのいない診察室でこっそり相談してくださったことがありました。

「もっともっと勉強しないと本当に行きたい学校には合格しないだろうな…と思うと,すでに精いっぱいがんばっているのはわかっているのに『△△高校行きたいんだもんね,もっとがんばらなくちゃね』って言っちゃうんですよ,私…。それ以来あの子,家で私に話をしてくれなくなったんです」

同じような悩みをお持ちのお母さんお父さん,いらっしゃるかもしれませんね。

「がんばろう,って励ますつもりで言ってるんですけど…それが追い詰めたりすることになるんでしょうね。でも,なんとか元気づけてやりたいんです。いったい何と言ってやればいいのか…」

そんなふうにお母さんはおっしゃいました。

お母さんが励ますつもりで声を掛けていらっしゃることは私にはとてもよく伝わってきたし,掛けたことば自体にそれほど問題があるようにも思えません。

でも。

お母さんの掛けたことばが,お母さんの意図どおりお子さんに伝わるとは限らないんですよね。

「△△高校行きたいんだもんね」と言われて「そうそう,合格するか不安だけど,やっぱり行きたいんだよ」と思うか「行きたかったけど,きっと無理。お母さんだって本当はそう思ってるくせに…」と思うか。

「もっとがんばらなくちゃ」と言われて「うん,がんばろう!」と思うか,「これ以上がんばれっこないのに!」「がんばってもどうせ無駄じゃん」と思うか。

お子さんがどう受け止めるかはお母さんにはコントロールしようのないことだし,受験を控えて不安とストレスに晒され続けているお子さんがお母さんやまわりの人のことばをなんでもネガティブに曲解してしまうことは十分に考えられることです。

どうせ悪いほうに曲げて受け止められてしまうくらいなら,無理して気の利いたことばを掛けようとしなくてもいいんじゃないのかな,と私は思います。

暖かい雰囲気で,つかず離れずの距離感で見守ってあげて。
どうしても声を掛けたかったら「がんばってるね」くらい手短にしておいて。
そして,親御さんは親御さんの楽しみや用事にしっかり取り組んで。

きっとお子さんは不安でいっぱいだと思いますが,親御さんがどっしり構えていてくれるとその分お子さんも安心しやすいはず。

どうかリラックスして(リラックスしたふりでもいいと思います!)見守ってあげてさいね♪

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コメント: 2
  • #1

    ya_tom (水曜日, 26 1月 2011 17:44)

    何とタイムリーな話題!
    リラックス。(したふりでも可)。ありがとうございます。

    我が家は受験は来年なのですが
    日々プレッシャーと戦っているな、というのが見ていてわかるので、
    「勉強するより寝るほうが体にいいよ~」などと不用意なことを言ってしまって
    (私自身が本当にそう思っているのですが)
    当人を怒らせてしまっています。

    黙って見守る。うむ。
    本当にありがたいアドバイスをいただきました。

  • #2

    child-mental-health (水曜日, 26 1月 2011 23:55)

    > ya_tomさん
    早速ありがとうございます。
    プレッシャーと戦うこどもたちが望んでいるのは,きっと気の利いたことばじゃなくて「自分は応援されている」とか「自分は信頼されている気がする」とかいう安心感なんですよね。
    暗黙の“承認”を送りながら黙って見守るという感じがいいのかな,と私は思います。