2011年

3月

24日

抗精神病薬について

お薬シリーズ第5回目のテーマは抗精神病薬です。

抗不安薬=軽い安定剤(マイナートランキライザー)に対して,メジャートランキライザーとも呼ばれます。

抗精神病薬は,基本的にはドーパミンという神経伝達物質が伝わりすぎるのをコントロールすることで,神経の高ぶり・興奮や幻覚・妄想などの病的体験を抑えてくれる効果があります。

ただ,抗精神病薬も精神医療の歴史のなかでさまざまなタイプのものが開発されてきています。効きかたの特徴もそれぞれならみられやすい副作用もお薬によってそれぞれ違うので,患者さんの困っている症状や身体の状態などによって細かく使い分けられています。

抗精神病薬というネーミングからは,精神病(精神分裂病,今で言う統合失調症)の治療のためのお薬,といったイメージがありますが,実際にはそれ以外にも活躍する場の多いお薬です。

睡眠薬と併用してより深くぐっすり眠れるようにと使うこともありますし,最近では自閉症スペクトラムなど発達障害特性をもつこどもたちの多動・衝動性,興奮,こだわり行動やチック症などにも症状に合った抗精神病薬が使われることがあったりします。

先日の気分安定薬のところでも少し触れましたが,とっても躁状態が強く現れたときには,気分安定薬での症状コントロールよりも優先して抗精神病薬を使ったりします。

お薬を使う量も,患者さんの状態によってかなりの幅があります。

お子さんの場合,特に発達障害特性をもつお子さんに対して処方するときには,いちばん小さい錠剤を1錠だけ,あるいは半分に割って使ったり,粉砕や細粒で量を微調整したり,ととても少ない量から試してみることが一般的です。

体質によって効果の出かたも副作用の出かたもまちまちだからです。

最初に処方された量で副作用と思われるつらい症状が出たときには,早めに主治医へ電話などで相談して,その日以降どんなふうにお薬を飲むようにすればいいか指示をもらってくださいね。

逆にちっとも効果を感じられなかったというときにも,「意味がないから」と自己判断でやめてしまわないで「毎日処方どおり飲んだけど特に変わりはなかった」ときちんと報告していただけたら嬉しいです。

主治医としては,副作用が出ないことを最優先に考えて,初めの処方にはとても慎重になっていることが多いものです。

何日か続けて飲むうちに効きめが徐々に現れることもありますし,次の診察まで効かなかったとしても「効果は感じられなかったけど,副作用も特になかった」と聞けば,安心して少し増量しようと提案してくれると思います。

主治医はお薬に関する基礎知識はもっているけど,患者さんおひとりおひとりの薬の効きかたに関しては患者さんご本人やご家族のほうがずっと詳しくわかっているはず。

遠慮なく飲み心地や飲んでみた感想を主治医に伝えてくださいね。それが,その後の薬物調整の大切なヒントになりますから…。

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