精神科受診すること,まだ本人には内緒なんです…?

ごくたまにですが,こういうかたちでご相談をお受けすることがあります。

たとえば診察室へ向かう前に,親御さんが「じつはまだ本人はこれから精神科受診することを知りません。よろしくお願いします」と書いたメモを渡してこられたりするケース。

お子さんはただ親御さんの受診に同伴するつもりで来ていたり,ここが精神科だとは知らされないまま来ていたり,…。


いろいろな考えかたがあるかもしれませんが,私はこういうケースでは基本的にはお子さんを診させていただかないことにしています。


親御さんはお子さんの行動に悩んでいたり困っていたりするわけですが,お子さん自身には精神科を受診する動機づけがないわけですよね。
(もちろんこういうかたちで来られて,少しお話しするうちにじつはお子さん自身も相談してみたい思いがあった,という場合はそのままお受けします。滅多にありませんが…。)

精神科の外来診療は,ご本人が受診したい・治療を受けたいと思ってくださってこそ成り立つもの。

それは内科とか外科とかでも同じことですよね。

精神科の入院治療に限っては,ご本人が望んでいなくても入院治療が必要な状態だと精神保健指定医が判断して,なおかつ保護者の方が治療に同意してくだされば入院が成立しますが,外来にはそんな制度はありません。

(追記:2014年4月より,医療保護入院の保護者制度が廃止されることになりました。)


ご本人が「(児童)精神科を受診してみる」と思っていただかないと始まらないのが外来治療です。受診することがゴールなのではなく,お薬を飲んだり自分の生活や考えかたを振り返ったり,ときには自分の本気の力を出して検査を受けていただいたりするわけで,どれもご本人の意思なしにはできないことばかりですから…。

だまし討ちのように連れてこられたお子さんが素直に治療に乗ってくれる,なんてことはまずないですし,「騙したな!」と親御さんとの関係がその後ギクシャクする恐れだって大いにあります。


お子さんを受診させたい,でもお子さんは受診したがらない…手間は掛かると思いますが,以前も書いたとおり,まずは親御さんが患者さんとして受診をしていただくことをおすすめします。

そこでお子さんの様子を教えていただきながら,どうすればお子さんの状態がよくなりそうか,受診につなげることはできそうかを一緒に考えさせていただけると思います。

もちろん,親御さんの受診でお子さんに服用させるお薬をお出しするなんてことはルール違反です。

実際ときどき頼まれることがありますが,すべてお断りしています。どうかご了承くださいね。

精神科受診FAQ