発達障害と手帳 その4

発達障害と手帳について。

今回で4回目になりますが,ここまでで一旦おしまいにしようと思っています。

これまで,療育手帳はこうすれば取れる,療育手帳が取れなかったら精神障害者保健福祉手帳が取ることもできる,そのときはこんなところに気をつけて…といった流れでお話を進めてきました。

でもたぶん,いちばんの問題は「手帳,特に精神障害者保健福祉手帳を取得したいと思うかどうか」というところなんじゃないのかな…と思っています。

たしかに,手帳があることで受けられるサービスはいろいろ増えます。
支援する側からしたら「せっかく取れるんだし,持っておいたらきっとあなたの役に立つことがあると思いますよ」と勧めたくなるところかもしれません。実際,せっかくのサービスだからと積極的に手帳の取得を考える患者さんもいらっしゃいます。

でも。
精神障害者だと証明するようなものをわざわざ持つのはどうなんだろう…という患者さんやご家族のお声を聞くこともあります。

そして残念なことに,手帳を持っていても誰からも決して偏見の目で見られたりしない,とは言い切れないところもあって…。

私自身,精神障害者福祉手帳の取得について少し詳しくこちらでご紹介しましたが,だからといって取得できる方には誰にでも取っていただきたいとは思っているわけではないのです。

手帳を持つことで受けられるメリットもあれば,ご本人にとってデメリットとなるおそれもある…手帳を取得することにより生じるリスクを知っていただいた上で,やっぱりそれでも手帳を持っているほうが自分の望む「あの」サービスが受けられるという具体的なメリットを感じられる方にはぜひ取っていただきたいと考えています。

手帳を手にすることは何かのペナルティとか烙印とかいうことではなくて,それがご自分のためになる,役に立つものなんだ,と感じながら積極的に利用していただきたいのです。

誰にでもどこででも手帳を提示する義務なんてものがあるわけでもないので,自分が必要な場面だけ使うことだってできますし,しばらく手帳を使って支援を受けていずれ返納したり更新しなかったりするといったこともできますから,上手に役立てていただきたいな,と思います。


それから,もうひとつ。

手帳があるほうが必要な支援が得やすいのは確かなのですが,場合によっては手帳がなくても同等の支援を受けられたり,少なくともその支援の入り口では手帳が必要ないといったこともあります。

たとえば,ハローワークの障害者窓口。
手帳がなくても,たとえば主治医の意見書などでも相談を開始することができます。もちろん実際に障害者枠で就労することになればそのときには手帳の申請を考えることにはなりますが,じっくり情報を集めてから本当に必要だと思った時点で検討すればいいわけですよね。

そのほかにも,手帳がなくても支援機関と主治医との間で連携があれば,当面の支援サービスが受けられたり詳しい説明を聞くことができたりする場面はいろいろあると思います。

誰かに手帳を取るよう勧められたときにも,本当に今すぐ必要なのか,手帳がなくても始められることはあるのか,といったことをまずは落ち着いて主治医や支援機関に相談するとよいと思います。

手帳を取るも取らないも,ご本人の自由にまかされています。

いずれ手帳が必要になるかも…と思ったら,どうか慌てずに,精神科初診のタイミングだけは意識しながらじっくり情報収集して,本当に必要になったときに備えていただけたらよいのかな,と思っています。

発達障害について

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コメント: 3
  • #1

    KUJAUSA (土曜日, 07 5月 2011 01:02)

    レポート、拝見させて頂きました。
    我が子は広汎性発達障害です。手帳は貰った方がいい、いや貰えない…。そんな話をしていた頃がありました。偏見…。確かに私の心に引っかかってた一つです。今は、いつかの将来、我が子が必要なのかもと思えたとき、児童精神科の先生と密に話をした上で、我が子にとって何が最善なのか、見極めたいと感じています。とても貴重なお話を、ありがとうございました。

  • #2

    child-mental-health (土曜日, 07 5月 2011 01:03)

    コメントありがとうございます。お返事遅くなってごめんなさい。
    書いていただいたとおり,いつかもし本当に必要だと思われたときに検討されたらよいと私も思います。無理矢理もたされるというものではないですし,遠慮したり我慢したりしないといけないものでもないですから…。

  • #3

    睦月七草 (金曜日, 13 11月 2015 16:51)

    私は、広汎性発達障害と軽度知的障害で、医師と支援者から、療育手帳を受けるようアドバイスされて、両親も私も納得の上、今は、療育手帳をいただいています。今までに、バス・タクシー・新幹線・動物園・植物園・水族館・恐竜展・駐車場・ユニバーサルスタジオジャパン・映画・障害者無料歯科検診など、いろいろな割引サービスを受けてきました。障害基礎年金もいただいています。また、障害者枠の習い事も、安い費用で、障害を理解してもらいながら、安心しておけいこさせてもらっています。また、今は、自立支援医療(精神通院)も受け、安い費用で、通院しています。また、地域のプレミアム商品券を買う権利が、障害者優先という事で
    、当選ハガキが届き、今月中に、療育手帳を持って、その商品券を受け取りに行きます。その券で、お正月の買い物を安くしようと思っています。また、何かあった時に、支援を受けやすくなるので、療育手帳がある方が、メリットは多いと思います。私は助かっています。