2011年

5月

10日

戻りたくなったのは…

今治療を受けている病院から転院すること…治療の経過のなかでときどき起こりますよね。

患者さんやご家族から「主治医を変わりたいんです」「病院を移りたいんです」と言われたとき,私はどちらかというとあっさりO.K.してしまうほうかもしれません。

お引っ越しのような物理的な事情があるときにはもちろんですが,違う先生のところで治療を受けたいからという理由で転医を希望されても,よほどはっきりした理由がない限りお引き止めしないのです。

だってそんなお気持ちになられるということは今の治療に100%満足していらっしゃらないということだし,いくら自分としては全力で関わらせていただいているとしてもこちらで治療を受けていただくことが患者さんやご家族にとってベストだという自信はないからです。

地域には他の先生方もたくさんいらっしゃるわけで,患者さんやご家族には主治医を選ぶ権利がありますもんね。

そしてこんなとき,一言だけ添えて送り出します,「もしも戻りたくなったら,遠慮なく帰ってきてくださいね」と。


ちょっと前のこと,こんなふうにお見送りした患者さんのお母さんからお電話がありました。

「あの…またそちらの予約を入れてもいいでしょうか?」

もちろん,いいに決まってます! どうぞお帰りなさい♪

診察室でお母さんが教えてくださいました。

「しばらく別の病院に通っていたんですけど,息子が先生のところへ戻るって決めたので…。どうして戻ろうって思ったの? と聞いたら…『だって先生は宿題を出してくれるもん』って言うんですよ」と。


…正直言って,ちょっと意外でした。

私のなかでは,転医を決意されたのは診察室で出る宿題がつらいと感じていたからかな,と密かに反省していたのです。

宿題をコツコツ続けながら元気を回復してほしいと私は願っていたけれど,時期尚早だったかな,と…。

「宿題やるの面倒だけど,でもシールが溜まってきたら『あー俺がんばったなぁ』って思えるんだ。ホントだよ!」

そう言ってもらえてとてもホッとしました。

さぁ,また一緒に宿題がんばっていこうね~!

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コメント: 2
  • #1

    K (水曜日, 11 5月 2011 23:10)

    いつも拝見しています。
    とても素敵なエピソードですね。
    本人にとって信頼できる存在がいることが保護者にとっても妙薬になったりします。
    いつでもおいで という言葉はこころにしみますね。

  • #2

    child-mental-health (金曜日, 13 5月 2011 21:18)

    > Kさん
    コメントありがとうございます。
    いつも通ってきてくれるお子さんが,診察をどんなふうに思ってくれているかと意識するようにしていますが,やっぱりこちらの想像が全然当たらないこともあったりして(恥)…。
    とっても難しいことですが,たまに厳しいこと言ってもお子さんに受け止めてもらえるような信頼関係を作るのが目標です!