児童精神科医になるには(4) できることを始める・続ける

このシリーズ,いちおう今日で一旦完結にします。

「児童精神科医になりたいけど,どうしたらいいのかなぁ…」と悩んでいる若いみなさんのお役に少しでも立てたら嬉しいです♪

児童精神科医は自閉症スペクトラムなど発達障害をもつこどもたちの診療をする機会が多いもの。

そして,今の勤務先で発達障害特性をもつこどもたちを診させていただきながら,常に頭のどこかで意識しているのは,自分の異動・転勤のこと。

自分が転勤したあとのことを心配して,こどもの患者さんを大勢診させていただきたいという気持ちにどこかでブレーキを掛けようとしている面があります。

…これは発達障害特性のないこどもたちにも当てはまることですが,発達障害特性をもつこどもたちには長期間関わらせていただくことになるケースが多いので…。


こどもを専門に診る施設で勤務しているとか,こどもを専門に診るためのポストに就いているとかであれば,こどもの患者さんをどんどん診療していても困らないと思うのです(だって後任の先生もこどもを診るつもりで赴任してくださるでしょうから…といっても,そんなポストはほとんどありませんが)。

でも,本来なら成人を診療することが期待されているポストでたくさんこどもの患者さんを抱えてしまうと,私の後任で来てくださる先生が困ってしまうだろうし,なによりそのことが患者さんにとって不利益になってしまったら申し訳なくて。

別に私が診療していれば患者さんがHAPPYで,他の先生ならUNHAPPYになると言いたいのではなくて,一般的な精神科医(私が診療している地域だけかもしれませんが)は本当に,本当に,こどもの患者さんを診ることに消極的なのです。

でも,それは現状では仕方のないこと。だって,研修医のときから児童精神科診療のトレーニングを積む機会が与えられていないし,私と同世代くらいの医師は研修医時代にたとえばアスペルガー症候群に関して上級医の指導を受けたりしたこともないのですから,自分の診療にきちんと責任を持ちたいと思う先生ほど「私は経験がないのでこどもの患者さんを診ることができません」と正直に患者さんに告げることになるだろうと思います。

むしろ問題は,児童精神科診療のトレーニングを受けたいと思っていても受けられない,今の状況にあるわけで。

児童精神科の専門施設がなければ児童精神科診療のできる専門医の先生の数もそのぶん少なくて,指導を受ける場も指導してくださる先生もないとなれば,トレーニングを受けることのできる医師も限られて,こどもの患者さんを診る医師が育ちにくいままになっている…。

この状況ってなんとかならないのかな,といつもイライラしてしまいます。

でも,現状に文句を言っていても仕方がないですよね。

今の悪循環を抜け出すには,児童精神科医が増えることと児童精神科専門施設が増えることが必要で,そのうち自分にできることは一般精神科の医療機関にいても児童精神科医であるというアイデンティティを持ち続け,この道を志そうとする若者がいたら「ぜひがんばって,挫けそうになることもあるだろうけど,できる限り応援するから!」と声を掛けてあげることくらい(笑)。

ありがたいことに,同じ思いでこどものこころの診療に取り組んでいる同世代の小児科医の仲間と地元でつながることができて,それで勉強会を立ち上げて研修医の先生や医学生さんにも少しずつ参加してもらったりするようになりました。

専門施設は時代の流れや世論の高まりがこれから徐々に造られることになるだろう,そのときに備えて自分自身がスタンバイOKでいられるように…。

まずは愚痴る暇も惜しんで,このまま走り続けようと思います。

 

児童精神科医になるには